甲状腺

甲状腺とは?

甲状腺は、正常では喉仏の下にある輪状軟骨と胸骨の間に存在します。甲状腺とは?

甲状腺ホルモンは、

  1. 基礎代謝の亢進
  2. 成長・発育・脳の発達促進
  3. コレステロールや血糖への作用
  4. 自律神経への作用など、多くの臓器組織に多岐にわたる広範な作用を及ぼします

本邦における甲状腺疾患の罹患数は500~700万人で、そのうち治療が必要な患者様は約240万人と推計されています。
主な疾患としては、バセドウ病、橋本病、甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能低下症、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などがあります

バセドウ病

バセドウ病とは、甲状腺を刺激する自己抗体が何らかの原因によって産生されることで甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。日本内分泌学会によると、バセドウ病は人口1000人あたり0.2~3.2人と報告されており、20~30代の若い女性に多く、男女比は1:3~5と言われています。症状としては、脈が速くなる(動悸)、暑がり、汗を大量にかく、手足が震える、イライラする、体重が減る、手足が動かしにくくなるなど多彩な症状を呈しますバセドウ病

治療は、主に薬物療法から開始しますが、場合によっては放射線治療や手術により甲状腺摘出が必要になる場合もあります。もし、治療が不十分もしくは中断したり、治療を受けていない場合、甲状腺クリーゼといって命に関わる病態に移行することがあります。

バセドウ病の治療

①内服治療

バセドウ病に使用する内服薬は、チアマゾールとプロピルチオウラシルの2種類があります。
早く甲状腺機能を正常化させたい場合はヨード剤を併用することもあります。
チアマゾールとプロピルチオウラシルの副作用として、肝障害、無顆粒球症、薬疹などがあり、特に治療開始2~3か月間はこまめに採血で確認する必要があります。
内服治療は2年程度続ける必要がありますが、それよりも長い期間要する場合もあります。
状態が落ち着いていれば中止を検討しますが、中止後に再発することもありますので、定期的に確認することが大切です。

②アイソトープ(放射性ヨウ素)治療

食物中のヨウ素は、甲状腺に集まり甲状腺ホルモンの材料として使われます。
放射性ヨウ素も同様に甲状腺に集まり、集まった放射性ヨウ素は甲状腺細胞を減らし甲状腺ホルモンの産生量を減少させます。
放射線を使用する治療のため、妊婦、現在妊娠の可能性がある女性、近い将来(6ヶ月以内)妊娠する可能性がある女性、授乳婦には使用できません。
当院ではアイソトープ治療は行っておりませんので、ご希望の方はアイソトープ治療を行っている施設へご紹介させていただきます。

③手術

甲状腺組織を外科的に切除し、甲状腺ホルモン過剰の状態を改善させます。
手術をご希望の方は、手術を行っている施設へご紹介させていただきます。

橋本病(慢性甲状腺炎)

橋本病とは、何らかの原因によって、免疫異常により甲状腺に慢性的な炎症が起こり甲状腺組織が少しずつ壊され甲状腺ホルモンが作られにくくなります。日本内分泌学会によると、橋本病は非常に頻度の高い病気で、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。症状としては、甲状腺の腫れ、脈が遅くなる(徐脈)、寒がり、皮膚の乾燥、動作や言葉が緩慢、体重増加、低体温、うつ状態、脱毛など多彩な症状を呈します。橋本病(慢性甲状腺炎)

治療は、甲状腺ホルモンが正常であれば治療は必要ありませんが、ホルモンの低下がある場合は甲状腺ホルモンを補充する必要があります。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気で、最も多いのは前述の橋本病ですが、昆布、ヨード卵、ヨウ素含有咳嗽液などのヨウ素過剰摂取によっても起こります。その他には、甲状腺摘出後、放射線照射療法後などでも起こります。
治療としては、ヨードの過剰摂取であればヨード制限による改善しますが、基本的には甲状腺ホルモンの補充が必要となります。甲状腺機能低下の経過が長い場合や、治療を中断すると粘液水腫性昏睡といって命に関わる病態に移行することがあります。

成人の摂取量上限 3mg/日( 2020年食事摂取基準)
食品 食品の量(g) 含有ヨード
昆布・とろろ昆布 5 10~20mg
昆布だし汁 昆布0.5~1.0 1~2mg
ひじき 5~7 1.5~2mg
ワカメ(乾) 1~2 0.8~1.5mg
海苔 2 0.12mg
寒天(乾) 10 0.20mg
いわし 100 0.30mg
ぶり 100 0.20mg
塩鮭 100 0.15mg
大豆 20 0.02mg
白米 160 0.06mg
イソジンガーグル 2ml 14mg

潜在性甲状腺機能低下症

潜在性甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンは正常ですが、脳の下垂体から甲状腺へ刺激するホルモン(TSH:甲状腺刺激ホルモン)が高くなる病気で、症状は表れても軽度のことが多いです。日本内分泌学会によると、健康な人の3.3~6.1%に認めると言われています。TSHが10μU/mlを超えている場合、心臓における冠動脈疾患が増加すると言われており治療対象になりますが、年齢や冠動脈疾患の既往などに応じて甲状腺ホルモンの量をこまやかに調節する必要があります。

無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎とは、主に橋本病の経過中に一過性に甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。症状はバセドウ病と似ていますが、一般的には2~8週間で落ち着きその後に一過性の甲状腺機能低下を来しますが、ほとんどは4~10週間で回復します。治療は基本的には経過観察となりますが、脈が速い場合は、脈を抑える薬を内服することもあります。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状炎とは、ウイルス感染などが原因で甲状腺内に炎症が起き、甲状腺組織が壊れ甲状腺ホルモンが上昇する病気です。
症状としては、バセドウ病と似ていますが、発熱や甲状腺に痛みを伴うことが特徴です。
治療としては、炎症を抑えるためにステロイド剤を内服することで速やかに症状は改善しますが、減量を早くすると再燃することがあります。ステロイドの内服は一時的なもので症状が落ち着けば不要になります。その他に、脈が速い場合は、脈を抑える薬を内服することもあります。
自然治癒が期待できますが、甲状腺に強い痛みがある場合には、治療が必要になります。

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